事例62 後遺障害「非該当」から高次脳機能障害が認められ「併合2級」を獲得し、損害賠償額が100万円から5000万円(50倍)になった事例
事例62 後遺障害「非該当」から高次脳機能障害が認められ「併合2級」を獲得し、損害賠償額が100万円から5000万円(50倍)になった事例
依頼者
越谷市在住 70代男性(自営業)
等級・部位
併合2級 頭部、下肢ほか
事案の概要
一度、係争中としてご報告させていただいた事案です。最終的に解決となりました。損害賠償金は、当初の約100万円から、約5000万円になりました。約50倍の増額に成功することができた事例です。
依頼者は、越谷市内のある交差点の横断歩道を歩行中、右折車に巻き込まれる交通事故(以下「本件交通事故」といいます。)によって、頭部・全身を強打し、脳挫傷・鎖骨骨折・肋骨骨折などの重傷を負いました。
事故直後に緊急手術を行い、一命は取り留めましたが、相当期間の入院を余儀なくされ、その後も長期間の通院生活となりました。依頼者は、事故前には自営の仕事を行い、そもそも体を動かすことが好きだったこともあり、活力的に日々の生活を送っていました。
しかし、事故により、生活状況は一変し、家族の助けがないと日常生活を送れない状態になってしまいました。退院後は家族全員のバックアップ(介護)が必要となってしまったのです。このような状態で、通院とリハビリを行い、事故から4年が経過した後、症状固定となりました。某病院にて作成いただいた後遺障害診断書には、高次脳機能障害と記載されましたが、その内実は、いわゆる認知症を判断するための長谷川式テストを実施したことが記載されただけというものでした。依頼者の家族は、症状固定後、保険会社の勧めに従い、事前認定(一括対応相手方任意保険会社が代行する後遺障害の申請手続です。)手続によって、後遺障害等級認定申請を行いました。
ところが、結果は、「非該当」でした。家族の助けがないと日常生活を送れない状態であるにもかかわらず「非該当」だったのです。もちろん、高次脳機能障害は否定されました。そして、相手方任意保険会社からは、後遺障害「非該当」を前提として損害賠償金が提示されました。その損害賠償金の額は、わずか約100万円でした。上記のような怪我を負ったにもかかわらずです。この間、相手方保険会社からは、後遺障害や損害賠償金、手続の流れなど詳しい説明は一切されず、誠意のある対応はされていませんでした。
加えて、事故により依頼者のみならず家族全員の生活が一変し、相当長期間の治療・リハビリを行ってきたところに、「非該当」というあまりに残酷な結果を突き付けられてしまったのです。
このような状況のなか、依頼者様のご親族が当事務所にご相談に来られました。
解決に至るまで
ご相談を重ねる中で、「非該当」との結果は、不当であるとの判断に至り、当事務所弁護士が依頼を受け、まずは、後遺障害の認定に対する「異議申立て」の準備にとりかかりました。「非該当」の結果は、推測するに、主として、年齢からくる認知症と判断されてしまったことにありました。そこで、これまで培った経験を元に「非該当」の結果を覆すべく、高次脳機能障害にかかる主張や証拠を収集するなどして、異議申立てを行いました。この申立てにおいては、医学的資料を中心に説得的な主張を展開しました。本来であれば、後遺障害診断書の記載の修正を主治医にお願いしたかったところですが、今回は、それが厳しいという事情があり、他の手段を考えました。
その結果、高次脳機能障害が認められ後遺障害併合「2級」の結果を獲得することに成功し、自賠責から後遺障害分の保険金2000万円以上を回収することができました。
この結果を前提としての、その後の任意保険会社との交渉においても、賠償金が当初の100万円から数千万円と相当高額になりました。しかし、当方が納得のできる妥当の賠償金とはひらきがありました。また、なかなか交渉が進まなかったため、交通事故紛争処理センターにあっせん申立てを行いました。
最終的に、当方の主張をほぼ全面的に認める内容のあっせん案が提示され、依頼者様の納得のいく形でようやく示談が成立しました。実に、事故発生から約9年が経過していました。
「非該当」のまま諦めてしまっていれば、このような結果を得ることはできませんでした。高次脳機能障害などの複雑な案件・重度の等級が見込まれる案件は、交通事故分野に精通した弁護士の所属する法律事務所にご相談・ご依頼することが極めて重要です。
当事務所では、6名の弁護士がこれまでの経験で培ったノウハウを共有し、相互に連携して事案処理を行っております。
高次脳機能障害、上肢、下肢骨折などの重篤な交通事故被害でお困りの方はお気軽にご相談ください。
解決のポイント
・「非該当」から「併合2級」とすることができた比較的稀有な事例。
・高次脳機能障害は、それ自体、医学的にも損害論的にも専門的な知識・経験を必要とする類型であるところ、粘り強く事案に取り組むことで適正な損害賠償金を獲得することができた事例。
・高次脳機能障害が疑われる交通事故の場合、専門的ノウハウを有する弁護士に依頼することが肝要です。
<後遺症のポイント>
ポイント25 高次脳機能障害認定の3要件
ポイント26 高次脳機能障害認定の要件
ポイント28 左側頭骨骨折・脳挫傷
ポイント38 高次脳機能障害チェックリスト
※本事例は当事務所で取り扱った事案をもとに記載されていますが、事案及び個人の特定がなされないよう、事実関係を一部変更または抽象化させていただいております。
- 事例81 死亡事故において過失がないとする相手方の主張を避けた事例
- 事例80 歯牙欠損に関して訴訟を提起し、インプラントの将来治療費を認めさせ、こちらの主張する過失割合で和解した事例
- 事例79 プラトー骨折の事案において、後遺障害14級9号に異議申し立てを行い、12級13号を獲得した事例
- 事例78 死亡事故事案(80代)において、死亡逸失利益や死亡慰謝料などについて訴訟手続きにより損害賠償金を約1.9倍増額させた事例
- 事例 77 主婦のむち打ち事案において、治療費打ち切り後の治療の正当性が認められ、相手方保険会社が否認していた休業損害についても支払いを受けることに成功した事例
- 事例76 会社の代表者が交通事故に遭い、休業が発生しましたが、固定の役員報酬が支払われていたため減収がない場合において、会社の反射損害として、交渉で約90万円を回収した事例
- 事例75 高次脳機能障害の事案において、異議申し立て等を経て併合6級を獲得し、相手保険会社からの最終提案額の3倍の賠償金を回収した事例
- 事例74 いわゆるむち打ち(頚椎捻挫・腰椎捻挫)損傷の事案において、後遺障害14級9号を獲得し、損害賠償金約400万円(自賠責回収分も含む。)を回収した事例
- 事例73 損害額総額 治療費含め総額約486万円を認めさせた事例
- 事例72 坐骨骨折などの傷害を負った事案につき、後遺障害等級14級を獲得し、交渉段階において、裁判基準による和解(既払い金や自賠責分を除き約500万円)に成功した事例